韓国の大統領選挙と日本のメディア

韓国の大統領選挙が始まる前から、日本のメディアは最有力候補だった李在明(イ・ジェミョン)氏を「反日大統領の誕生」というテーマに執着してきた。彼の過去の発言を掘り起こして分析したり、外交問題について彼の側近の傾向や発言に焦点を当てたりしていた。その様子を見ていると、過剰に騒ぎ立てているのではないかという印象を受けた。


韓国では基本的に、日本に対して「強硬な態度」を貫く大統領が求められる。日本に好感を持っている人であっても、一定の距離を保ったり、時には意図的に冷淡な姿勢を見せなければならない。前任の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、近年の大統領の中では比較的日本に友好的で親しみを示す人物だったが、結局それが支持率の上昇や好感を呼び起こすことはなかった。


彼の対日外交が国民の大多数の支持を得ていたなら、野党である「共に民主党」が提出した弾劾訴追案に「日本中心の奇妙な外交を行った」という理由が含まれることはなかっただろう。韓国の大統領という立場は、たとえ「建前」でも日本に対して厳しい態度を「見せる」必要があるポジションなのだ。


反日か否か以前に、「人間」として信頼できるか

今回大統領に就任した李在明は、韓国で「ポピュリスト」としてトップクラスと言える人物だ。自分に利益をもたらす言葉なら深く考えずに口にし、それが不利になると簡単にその言葉を翻す。その例はあまりにも多く、一つ一つ挙げるのも難しいほどだ。


そんな人物が反日的な発言をしようが、親日的な発言をしようが、日本について語ろうが、アメリカについて語ろうが、その言葉に大きな意味はない。彼の「言葉」はいつでも自分の都合に応じて手のひらを返すように変わる可能性があるからだ。したがって、彼の発言をいちいち深刻に考える必要はない。「反日」に焦点を当てるのではなく、一定の距離を保ちながら静観する姿勢が最適だろう。早まった失望も、期待も必要ない。


<今年3月「よく嘘つく政治家」の世論調査でダントツの1位>



北朝鮮と中国

そんな彼だが、一貫している点が一つある。それは中国と北朝鮮に対する姿勢だ。李在明はこれまで中国に対して過度に低姿勢な態度を示してきた。また、北朝鮮に対しては「借り」がある人物だ。その「借り」とは、彼が知事時代に北朝鮮へ700万ドルを不法送金した件のことだ(現在も裁判中。副知事は最高裁で懲役7年確定)。それも米国主導の対北朝鮮制裁が行われている状況で。(少なくとも米国は彼を信頼しないだろう)


さらに、彼が城南市長時代に北朝鮮を訪問したことも、彼の「弱点」として作用する可能性がある。日本でも時折話題になる、政治家を対象とした「ハニートラップ」のことだ。彼が弁護士時代、既婚者であることを隠して女優と不倫行為を行ったことを考えると、下半身が緩い人物であると容易に想像できる。北朝鮮は彼にどのような「接待」をしたのだろう。


北朝鮮側は不法送金や北朝鮮訪問時の彼の言動に関する十分な「情報」を握っているはずだ。その内容がどのようなものかは、今後の彼の態度を見れば推測できるだろう。


<平壌訪問時の写真>


注目すべきは、彼個人の傾向が反日か否かではない。
親中・親北の傾向は必然的に「反日」にならざるを得ないということだ。


(終)